住宅ローン金利上昇(2026年9月)は不動産売却にどう影響する?売るタイミングの考え方

最近、住宅ローンの金利がまた上がったというニュースを見ました。実は家を売ろうか迷っているのですが、これって売却にも関係があるんでしょうか?

はい、関係があります。買い手側の住宅ローン金利が上がると、購入できる金額や毎月の返済負担に影響するため、売る側の売却活動にも影響する可能性があります。
今回は、2026年9月の金利動向を踏まえて、売却を考えている方が知っておきたいポイントを整理してお伝えしますね。
※本記事の金利データは2026年9月時点のものです。金利は今後も変動するため、実際の借入・売却検討にあたっては、その時点の最新情報をご確認ください。
日銀の追加利上げで何が起きたのか(2026年9月)
日本銀行は2026年9月17・18日の金融政策決定会合で金融市場調節方針を変更しました。2026年6月に続く追加利上げとなり、政策金利は1.25%となっています。
政策金利の上昇は短期金利に影響し、変動金利型住宅ローンの基準金利を見直す要因の一つになります。一方、固定金利型の住宅ローンは長期金利などの影響を受けるため、政策金利だけで決まるわけではありません。
2026年9月は、実際にメガバンクやネット銀行などで変動金利が引き上げられており、住宅ローン金利にも上昇の動きが表れています。
日銀が金融政策を判断する際には、物価や経済、金融市場などさまざまな要因が考慮されます。そのため、「政策金利が上がった=すべての住宅ローン金利が同じ幅で上がる」と考えるのではなく、金利タイプや金融機関によって影響が異なる点を押さえておくことが大切です。
住宅ローン金利は実際どれくらい上がったのか
2026年9月時点で、変動金利はメガバンク平均で年1.248%、ネット銀行平均で年1.292%、地方銀行平均で年1.227%となっています。
固定金利側では、メガバンクの10年固定が平均で年3.843%、フラット35が年3.460%となっています。フラット35の3.460%は、モゲチェックが2018年1月から集計しているデータでは最高水準です。
なお、住宅金融支援機構の公式情報でも、2026年9月のフラット35は借入期間21~35年・融資率9割以下の場合、最も多い金利が年3.460%となっています。
また、モゲチェックの集計では、2026年9月の変動金利とフラット35の金利差は2.23%となっており、2018年1月以降の集計で最大となっています。
日本では長く低金利の環境が続いてきましたが、現在は住宅ローン金利にも変化が出ています。フラット35の基本的な仕組みについては、以前の記事「フラット35とは?民間住宅ローンとの違い・メリット・デメリットをわかりやすく解説」でも詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
金利上昇で借入可能額はどれくらい変わるのか(シミュレーション)
住宅ローン金利が上昇すると、同じ月々の返済額でも借入できる金額は小さくなります。
ここでは、年収500万円、返済負担率25%、返済期間35年、元利均等返済、ボーナス返済なしという条件で、一つの目安として試算してみます。
年収500万円、返済負担率を25%とすると、年間の返済可能額は125万円、月々では約10万4,000円です。
この条件で35年間返済すると、金利3.290%の場合の借入可能額は約2,596万円です。
一方、金利が3.460%まで上昇すると、同じ月々の返済額でも借入可能額は約2,535万円となります。
つまり、金利が0.17ポイント上昇すると、借入可能額は約61万円少なくなる計算です。
ただし、これはあくまで一定の条件に基づく試算です。実際の借入可能額は、金融機関の審査基準、年収以外の収入・借入状況、返済負担率の基準などによって変わります。
年収700万円の場合、返済負担率25%とすると月々の返済可能額は約14万6,000円です。同じく金利3.460%、返済期間35年として試算すると、借入可能額は約3,548万円となります。
このように、金利が上昇すると同じ返済額でも借入できる金額が小さくなるため、買い手の購入予算に影響する可能性があります。
金利上昇は住宅の買い手にどう影響するか
住宅ローンの金利が上がると、同じ返済額でも借入可能額が小さくなるため、買い手の実質的な購入予算が抑えられる可能性があります。
特に、固定金利型では借入時の金利が返済条件に直接反映されるため、金利上昇局面では購入予算に影響しやすくなります。フラット35は全期間固定金利型で、資金の受取時に返済終了までの借入金利と返済額が確定する仕組みです。
一方、変動金利を選ぶ買い手であっても、今後の金利上昇を意識して、余裕を持った予算で物件を探す可能性があります。
その結果、購入予算を抑えたり、購入時期を慎重に検討したりする買い手が増える可能性があります。
住宅ローン審査の基本的な考え方については、以前の記事「住宅ローン審査に落ちる理由と対策、現役スタッフが徹底解説」もあわせてご覧ください。
売却を検討している人にとっての影響とタイミングの考え方
買い手の購入予算が抑えられると、物件によっては成約までの期間が長引いたり、価格交渉を求められたりする可能性があります。
一方で、今後さらに金利が上昇する可能性を意識し、「これ以上金利が上がる前に購入したい」と考える買い手が出てくることも考えられます。
そのため、金利上昇が必ず売却価格の下落につながるとは限りません。
物件のエリアや価格帯、購入者層によって影響の出方は異なります。
特に、住宅ローンを利用する買い手が多いファミリー向け中古マンションや戸建てでは、購入予算の変化を受ける可能性があります。
一方、都心の人気エリアなどでは、物件そのものの希少性や立地条件など、金利以外の要素が購入判断に大きく影響する場合もあります。
不動産会社に売却を相談する際は、金利ニュースだけを見るのではなく、自分の物件と似た条件の物件が、直近どのくらいの価格・期間で成約しているのかを確認することが重要です。
エリア・価格帯によって影響度は異なる
金利上昇の影響は、すべての物件に一様に及ぶわけではありません。
住宅ローンを利用する買い手が中心となる物件では、金利上昇によって購入予算が変化する可能性があります。
一方、都心の人気エリアや利便性の高い立地などでは、物件の希少性や立地そのものが購入判断に大きく影響する場合があります。
また、高価格帯の物件では、購入者の資金背景や購入方法が多様になるため、住宅ローン金利だけで市場の動きを判断することはできません。
ご自身の物件がどのような購入者層に向いているのかを確認することが、売却戦略を考えるうえで重要です。
現金購入や住宅ローンを使わない買い手への影響は限定的
住宅ローンを利用せず現金で購入する買い手にとっては、住宅ローン金利上昇による直接的な影響は限定的です。
ただし、金利上昇によって住宅ローンを利用する買い手の購入予算が変化すれば、市場全体の取引状況を通じて間接的な影響を受ける可能性はあります。
また、投資用物件の場合は、居住用住宅ローンではなく不動産投資ローンなどを利用する買い手がいるため、住宅ローン金利だけで判断することはできません。
特に、駅近の利便性が高い物件や賃貸需要が見込める物件では、購入者層に応じた売却戦略を検討することも重要です。
ワンルームマンションなど投資用物件を売却する場合は、以前の記事「表面利回りと実質利回りの違いとは?」もあわせてご覧ください。
なお、フラット35は投資用物件の取得資金には利用できません。
今すぐ売るべきか、様子を見るべきか
金利動向だけで「今すぐ売るべきか」を一概に判断することはできません。
物件の所在エリアの需要動向、競合物件の状況、ご自身の売却の緊急度などを総合的に踏まえて判断する必要があります。
ただし、金利が上昇局面にあることは、買い手の購入予算や購入意欲に影響する要因の一つです。
売却を検討している場合は、早めに複数の不動産会社に査定を依頼し、現在の市場でどのくらいの価格・期間で売れそうかを把握しておくとよいでしょう。
「金利が上がったから今月中に売らなければ」と焦って判断するのではなく、まず査定を取って現在の市場価格を確認し、そのうえで売却時期を検討する方法もあります。
査定額と実際の売却価格の関係については、以前の記事「査定額と売却価格はなぜ違う?」も参考になります。
既存の住宅ローンを組んでいる買い手への影響(参考情報)
すでに変動金利で住宅ローンを組んでいる人の場合、金利が上昇しても毎月の返済額がすぐに変わるとは限りません。
一部の金融機関では、変動金利・元利均等返済の場合に「5年ルール」や「125%ルール」を採用しており、金利が変更されても一定期間は毎月の返済額が変わらず、元金と利息の内訳が変化する仕組みがあります。
ただし、5年ルールや125%ルールはすべての住宅ローンに共通するものではありません。たとえば、三菱UFJ銀行では一定の条件で5年ルール・125%ルールが適用される一方、SBI新生銀行ではこれらのルールを採用していません。
2026年6月の利上げ分については、多くの銀行で2026年10月に基準金利が見直され、2027年1月以降の返済に反映される見込みとされています。2026年9月の利上げ分についても、今後、各金融機関が基準金利を見直し、既存の住宅ローンへの反映時期は金融機関によって異なると考えられます。実際の反映時期については、借入先の金融機関に確認する必要があります。
ただし、これは金融機関によって異なるため、実際の反映時期については借入先に確認する必要があります。
これから住宅を購入・買い替えする方が既存ローンの残債整理も兼ねて売却を検討している場合は、こうした金利の反映時期も踏まえて資金計画を立てるとよいでしょう。
買い替えを検討している場合、売却と購入のどちらを先に進めるかによっても、金利変動の影響の受け方が変わってきます。
売却を先行させる「売り先行」と、購入を先行させる「買い先行」、それぞれにメリット・デメリットがあるため、資金計画とあわせて不動産会社に相談しながら進めることをおすすめします。
過去の利上げ局面と比較して分かること
日本は長く低金利が続いてきたため、今回のような金利上昇局面では、住宅購入者が今後の金利動向を慎重に見る可能性があります。
ただし、過去の金利上昇局面で見られた動きが、今回も同じように起こるとは限りません。
金利以外にも、住宅価格、所得、雇用環境、人口動態、住宅供給量、地域の再開発など、住宅市場にはさまざまな要因が影響します。
そのため、「金利が上がれば不動産価格が下がる」と単純に考えるのではなく、ご自身の物件があるエリアの実際の成約価格や販売期間を確認することが重要です。
不動産会社を通じて、周辺の類似物件がどのくらいの価格で売れているのか、問い合わせや内覧の状況はどうなのかを確認しながら売却戦略を考えるとよいでしょう。
今後の金利見通し
今後の政策金利がどの水準まで上がっていくかについては、現時点で明確に決まっているわけではありません。
日銀は経済・物価情勢や金融市場の動向などを確認しながら金融政策を判断していくため、今後の金利を正確に予測することは難しい状況です。
住宅ローン金利についても、政策金利だけでなく、長期金利や各金融機関の金利設定など、複数の要因によって変化します。
そのため、売却や購入のタイミングを金利予測だけで決めるのではなく、ご自身の生活計画やライフイベントを軸に判断し、金利動向は判断材料の一つとして捉えることが現実的です。
転勤や家族構成の変化など、ご自身の生活上の事情で売却時期がある程度決まっている場合は、金利動向だけを理由に予定を大きく変える必要があるとは限りません。
一方、売却時期に柔軟性がある場合は、金利だけでなく周辺の成約状況や競合物件の数なども確認しながら、売却時期を検討するとよいでしょう。
売却を進める場合にできる準備
金利上昇局面で売却を進める場合は、複数の不動産会社から査定を取り、現在の市場感に合った価格設定をすることが重要です。
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のような査定サービスを利用すると、現在の金利環境を踏まえた目安の価格を確認できます。
相場から大きく外れた高値設定をすると、購入予算が限られる買い手には届きにくくなり、売却期間が長期化する可能性があります。
また、買い手側のローン審査や購入判断がスムーズに進むよう、物件の登記情報や設備の状態、修繕履歴などの資料をあらかじめ整理しておくことも有効です。
リフォームや設備の不具合など、内覧時に買い手が気になりやすいポイントを事前に確認し、必要に応じて修繕を検討することもできます。
ただし、売却前に大規模なリフォームを行えば必ず売却価格が上がるとは限りません。修繕費用と売却への効果を不動産会社に確認したうえで判断するとよいでしょう。
売却活動を始めた後は、問い合わせ数や内覧数、購入希望者からの反応などを担当者から定期的に確認し、必要に応じて価格や販売方法を見直していくことも大切です。
変動金利で住宅ローンを借りている買い手は、いつから返済額が増えますか?
金融機関によって異なります。
5年ルールを採用している住宅ローンでは、金利が上昇しても一定期間は毎月の返済額が変わらず、元金と利息の内訳が変わる場合があります。
一方、5年ルールを採用していない金融機関では、金利変更に伴って返済額が変わる場合があります。
また、2026年の利上げ分が既存の住宅ローンに反映される時期も金融機関によって異なります。正確なタイミングについては、借入先の金融機関に確認することをおすすめします。
金利が上がる前に急いで売却したほうがいいですか?
金利動向だけで判断するのではなく、物件のエリアの需要状況やご自身の売却の緊急度もあわせて検討することをおすすめします。
金利上昇が気になる場合は、まず複数社に査定を依頼し、現在の市場でどのくらいの価格で売却できそうかを把握することが第一歩です。
買い手の予算が下がると、売却価格を下げないと売れませんか?
必ずしも値下げが必要というわけではありません。
物件の立地や状態、競合物件の数、購入希望者の反応などによって売却状況は変わります。
ただし、相場から大きく外れた価格設定のままでは、購入予算が限られた買い手に届きにくくなる可能性があります。
現在の市場状況を確認したうえで価格を設定することが重要です。
今後も住宅ローンの金利は上がり続けますか?
今後の金利動向を正確に予測することはできません。
日銀は経済・物価情勢や金融市場の動向などを確認しながら金融政策を判断していくため、今後の政策金利がどこまで上昇するかを現時点で断定することはできません。
住宅ローン金利も、政策金利だけでなく長期金利や金融機関の金利設定など、さまざまな要因によって変化します。
フラット35で買おうとしている買い手には、どんな影響がありますか?
2026年9月のフラット35は、借入期間21~35年・融資率9割以下の場合、最も多い金利が年3.460%です。
フラット35は全期間固定金利型のため、資金の受取時に返済終了までの借入金利と返済額が確定します。
そのため、金利上昇局面では、同じ返済額を前提とした場合の借入可能額が小さくなるなど、購入予算に影響する可能性があります。
住宅ローンの借入可能額は、金利が0.1%変わるとどれくらい変わりますか?
借入額や返済期間によって大きく異なります。
例えば、35年返済で毎月の返済額を一定とした場合、金利が0.1ポイント上昇すると、同じ返済額で借りられる金額は数%程度小さくなるケースがあります。
ただし、借入条件によって変化幅は異なるため、「0.1%上昇=必ず2~3%減少」と一律に考えることはできません。
正確な借入可能額は、金融機関のシミュレーションなどで確認することをおすすめします。
住宅ローンを使わない買い手にも今回の金利上昇は関係ありますか?
現金購入をする買い手にとって、住宅ローン金利上昇による直接的な影響は限定的です。
ただし、住宅ローンを利用する買い手の購入予算や市場全体の取引状況が変化することで、間接的な影響を受ける可能性はあります。
そのため、現金購入層が想定される物件であっても、金利動向を完全に無関係と考えるのではなく、市場全体の動きとあわせて確認することが重要です。
まとめ
2026年9月、住宅ローン金利は上昇局面にあり、変動金利ではメガバンク・ネット銀行などで引き上げが見られています。また、フラット35は2026年9月に年3.460%となっており、モゲチェックの2018年1月以降の集計では最高水準となっています。
金利上昇は買い手の購入予算に影響する可能性があるため、売却を検討している方にとっても無関係ではありません。
ただし、金利が上がったからといって、すべての物件の売却価格が下がるわけではありません。
物件の立地、価格帯、競合物件、購入者層などによって影響は異なります。
そのため、売却を検討している場合は、金利ニュースだけを見て焦って判断するのではなく、まず複数の不動産会社から査定を取り、現在の市場でどのくらいの価格・期間で売却できそうかを確認することが大切です。
ご自身の物件がどのような買い手層に向いているのか、周辺でどのくらいの価格で成約しているのかなども確認しながら、売却時期や価格設定を検討してみてください。
金利のニュースは今後も変化していくため、この記事の内容を一つの参考情報として、最新の金利や市場動向は不動産会社・金融機関などにも確認しながら判断することをおすすめします。
自宅の売却を検討する際は、金利動向だけでなく、物件そのものの状態やエリアの需要動向、競合物件なども踏まえて総合的に判断することが大切です。
ご自身での判断が難しい場合は、姉妹サイトの「不動産売却の窓口」でも売却に関するご相談を受け付けていますので、あわせてご活用ください。

