建物解体費用の相場はいくら?解体前に知っておきたい注意点を現役スタッフが解説

実家が空き家のままになっていて、そろそろ解体しようかと考えているのですが、費用がまったく想像つかなくて。だいたいどれくらいかかるものなんでしょうか?

解体費用は建物の構造や広さ、立地によってかなり幅があるので、正確な金額は見積もりを取らないとわからないのですが、大まかな相場感はあります。それに、実は「解体してから売る」のが必ずしも正解とは限らないケースも多いんです。今日は、解体費用の相場と、解体前に知っておきたい注意点を一緒に整理していきましょう。

解体してから売ったほうが高く売れる、と聞いたことがあるのですが、本当ですか?

必ずしもそうとは限りません。解体すると固定資産税の軽減措置が適用されなくなる場合もありますし、解体費用をかけた分だけ売却価格が上がるとも限りません。費用と税金、売り方まで含めて整理していきましょう。
この記事のポイント
- 木造住宅の解体費用は、坪あたり3万〜5万円程度、30坪で90万〜150万円程度が一つの目安です。
- 庭木やブロック塀などの付帯工事、アスベストの除去、地中埋設物の撤去などで追加費用が発生することがあります。
- 建物を解体すると、住宅用地の特例が適用されなくなり、土地の固定資産税が上がる場合があります。
- 解体してから売る方が有利とは限りません。特に再建築が難しい土地は、解体前に不動産会社へ相談しましょう。
実家や空き家を所有していると、「建物を解体して更地にした方が売りやすいのでは?」「解体費用はいくらかかるのだろう?」と悩むことがあるのではないでしょうか。
建物の解体費用は、構造や広さ、立地条件によって大きく変わります。木造住宅でも100万円以上かかるケースがあり、建物以外の撤去費用や追加工事が発生すれば、当初の予算を超えることもあります。
また、建物を解体すると、住宅が建っている土地に適用されていた固定資産税の軽減措置が適用されなくなる場合があります。そのため、解体費用だけで判断するのはおすすめできません。
この記事では、不動産業界で20年以上営業してきた現役スタッフの立場から、建物解体費用の相場、追加費用が発生する理由、解体前に必要な手続き、解体してから売るべきかどうかの判断基準まで解説します。
建物解体費用の相場はいくら?
建物の解体費用は、一般的に建物の延床面積や構造をもとに算出されます。ただし、実際の見積もりでは、重機が入れるか、廃材を運び出しやすいか、付帯設備がどれくらいあるかなども金額に影響します。
まずは、構造別の坪単価と、一般的な30坪の建物を解体する場合の費用目安を確認しておきましょう。
| 建物の構造 | 坪単価の目安 | 30坪の場合の目安 |
|---|---|---|
| 木造 | 3万〜5万円 | 90万〜150万円 |
| 鉄骨造 | 4万〜7万円 | 120万〜210万円 |
| 鉄筋コンクリート造(RC造) | 5万〜8万円 | 150万〜240万円 |
※上記は概算の目安です。地域や建物の状態、工事範囲、廃材の処分費、付帯工事の有無などによって変動します。建物本体以外の撤去費用が別途かかる場合もあるため、実際の総額は複数の業者から見積もりを取って確認してください。
解体費用は、地域や業者によっても差があります。例えば、東京都内のように住宅が密集している地域では、道路が狭く重機を搬入しにくいことや、近隣への配慮が必要になることから、費用が高くなる場合があります。
木造住宅の解体費用
木造住宅は、一般的に鉄骨造やRC造と比べて解体しやすく、費用を抑えやすい構造です。
30坪程度の住宅であれば、建物本体の解体費用は90万〜150万円程度が一つの目安になります。ただし、庭木やブロック塀、物置、残置物などの撤去費用は、別途かかる場合があります。
築年数が古い住宅では、屋根や外壁などの建材にアスベストが含まれている可能性もあります。建物の状態によっては事前調査や除去工事が必要になるため、築年数や広さだけで費用を判断しないことが大切です。
鉄骨造・RC造の解体費用
鉄骨造は、木造に比べて頑丈な構造で、鉄骨の切断や分別などに手間がかかることがあります。重量鉄骨造の建物や店舗、工場などでは、さらに費用が高くなる場合があります。
RC造は鉄筋とコンクリートで構成されているため、解体に大型重機が必要になることも多く、発生するコンクリート廃材の処分費も考慮しなければなりません。
また、建物が大きい場合や地下部分がある場合には、解体費用が数百万円以上になることもあります。戸建て住宅だけでなく、アパートや店舗、ビルの解体を検討している場合は、建物の構造や地下部分の有無も含めて見積もりを依頼しましょう。
解体費用が高くなる主な原因
同じ広さの建物でも、解体費用が大きく異なることがあります。見積もりを比較するときは、坪単価だけでなく、現場の条件にも注目しましょう。
道路が狭く、重機が入りにくい
解体費用に影響する大きな要因の一つが、敷地の前面道路や周辺環境です。
道路が狭く、大型の重機や廃材を運ぶトラックが入れない場合、小型の重機を使用したり、手作業で解体したりする必要があります。その結果、工期が長くなり、人件費が増えることがあります。
特に、隣の建物との距離が近い住宅密集地では、周囲の建物を傷つけないよう慎重に作業を進める必要があります。騒音や振動、粉じんへの対策も必要になるため、一般的な立地より費用が高くなる場合があります。
庭木・ブロック塀・物置などの撤去
建物本体の解体費用だけを見ていると、付帯工事の金額を見落としがちです。
例えば、次のようなものは別途費用がかかる場合があります。
- 庭木や庭石、植え込みの撤去
- ブロック塀やフェンスの撤去
- カーポートや物置の撤去
- 門扉や駐車場のコンクリート撤去
- 家具や家電、衣類などの残置物処分
見積もりを依頼するときは、建物だけを解体するのか、敷地内の設備も撤去するのかを明確にしておきましょう。業者ごとに工事範囲が違うと、見積もり金額を正しく比較できません。
アスベストの調査・除去
古い建物を解体する場合は、アスベスト(石綿)の有無にも注意が必要です。
アスベストは、屋根材や外壁材、天井材、配管の保温材などに使用されていたことがあります。建物の解体・改修工事では、原則としてアスベストの使用状況について事前調査が必要です。一定規模以上の工事では、調査結果の報告も求められます。
アスベストが含まれていることが確認された場合には、建材の種類や状態に応じた飛散防止対策や除去作業が必要です。ただし、調査費用や除去費用は対象となる建材の種類や量、作業条件によって異なり、必ず一律の金額が追加されるわけではありません。
見積もりの段階で、事前調査の費用が含まれているか、除去が必要になった場合にどのように追加費用を算出するのかを確認しておきましょう。
地中埋設物が見つかる
建物を解体して地面を掘り起こした際に、古い基礎や浄化槽、コンクリート片などが見つかることがあります。
これらは地中に埋まっているため、事前の現地確認だけでは把握できないケースもあります。撤去が必要になれば、追加工事費用が発生する可能性があります。
過去に建物を建て替えたことがある土地や、古い建物が長期間建っていた土地では、地中に何が残っているかを把握できていないこともあります。
追加工事が発生した場合に備え、業者には「地中埋設物が見つかった場合、どのように連絡・見積もりを行うのか」を事前に確認しておくと安心です。
解体工事の前に必要な手続き
建物を解体する際は、工事の契約だけでなく、法令に基づく届出やライフラインの手続きなども必要になります。
建設リサイクル法に基づく届出
建築物の解体工事では、コンクリートや木材などの特定建設資材を使用した建築物等で、床面積の合計が80平方メートル以上の場合、原則として建設リサイクル法に基づく届出が必要です。
届出は、工事着手の7日前までに行わなければなりません。届出義務を負うのは発注者(工事を依頼する人)で、解体業者が手続きを代行することも多いため、誰が提出するのかは契約時に確認しておきましょう。
なお、対象となる工事の条件や届出先については、建物の所在地や工事内容に応じて確認が必要です。建物所在地の自治体や解体業者に相談すると安心です。
参考:東京都都市整備局「建設リサイクル法:工事の届出と報告」
電気・ガス・水道などの停止手続き
解体工事の前には、電気やガスなどのライフラインについて、停止や撤去の手続きを進める必要があります。
ただし、水道は工事中に散水などで使用することもあるため、必ずしも工事前に完全に止めるとは限りません。どの設備をいつ停止するのかは、解体業者と相談して決めましょう。
手続きを忘れると、工事日程に影響することがあります。電気・ガス・水道のほか、インターネット回線や電話回線なども、必要に応じて確認しておきましょう。
解体業者との契約内容を確認する
契約時には、工事範囲や費用の内訳、工期、追加費用が発生する条件などを確認します。
特に重要なのは、見積もりに何が含まれていて、何が別料金なのかという点です。建物本体の解体費用だけでなく、廃材の処分費、付帯工事、養生費、届出手続きなども確認しておきましょう。
また、近隣への工事説明や、工事中に建物や塀などを損傷した場合の対応についても、契約前に確認しておくと安心です。
解体すると固定資産税は上がる?
建物を解体して更地にすると、土地の固定資産税が上がる場合があります。これは、住宅が建っている土地に適用される「住宅用地の特例」が、原則として住宅のない土地には適用されなくなるためです。
住宅用地の特例では、住宅1戸につき200平方メートルまでの小規模住宅用地について、固定資産税の課税標準額が価格の6分の1に軽減されます。200平方メートルを超える部分についても、一般住宅用地として一定の軽減措置があります。
ただし、実際の税額は土地の評価額や面積、都市計画税の有無などによって変わります。特例が適用されなくなったからといって、固定資産税が必ず一律に何倍になるとは限りません。
また、固定資産税は原則として毎年1月1日時点の土地や建物の状況をもとに課税されます。そのため、解体した時期によっては、翌年度の税額に影響します。売却予定や解体工事のスケジュールも考慮しておきましょう。
なお、管理不全の空き家などについて自治体から勧告を受けた場合には、住宅用地の特例が適用されなくなることがあります。空き家を残しておけば必ず税金が安い、というわけでもありません。
空き家を放置するリスクについては、関連記事「空き家を放置するとどうなる?リスクと後悔しないための活用・売却法」でも解説しています。
解体費用を抑えるためのポイント
解体費用を少しでも抑えるためには、工事を始める前の準備が重要です。
2〜3社から相見積もりを取る
まずは、複数の解体業者から見積もりを取りましょう。同じ建物でも、業者の施工体制や廃材の処分方法、工事範囲によって金額が異なることがあります。
ただし、単純に最も安い業者を選べばよいわけではありません。極端に安い見積もりでは、必要な工事が含まれていなかったり、後から追加費用が発生したりする可能性もあります。
金額だけでなく、工事内容や追加費用の条件、近隣対応、廃材の適正処理なども含めて比較することが大切です。
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家財道具を整理しておく
家の中に家具や家電、衣類などが大量に残っていると、残置物の処分費用がかかることがあります。
自分で処分できるものを事前に整理すれば、費用を抑えられる可能性があります。ただし、家電リサイクル法の対象となる家電などは、適切な方法で処分しなければなりません。
自分で片付けるのが難しい場合は、解体業者にまとめて依頼する方法もあります。見積もりの際に、残置物の処分を含めた場合と含めない場合の金額を出してもらうと比較しやすくなります。
自治体の補助金制度を確認する
自治体によっては、老朽化した空き家の解体や、倒壊の危険がある建物の除却に対して補助制度を設けている場合があります。
ただし、すべての空き家が対象になるわけではありません。建物の状態や築年数、所有者の条件など、自治体ごとに要件が異なります。
また、工事契約や着工の前に申請が必要な制度もあります。解体を決めてから調べるのではなく、まず自治体の窓口や公式サイトで制度の有無を確認しましょう。
解体してから売るべき?古家付きのまま売るべき?
不動産の売却相談でよくあるのが、「建物を解体して更地にした方が高く売れるのではないか」という質問です。
結論からいうと、必ずしも解体してから売る方が有利とは限りません。土地の立地や形状、建物の状態、買主の需要によって判断が分かれます。
2つの売り方の違いを整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 更地にして売る | 古家付きのまま売る |
|---|---|---|
| 解体費用 | 売主が負担する | 売主が先に負担しなくてよい |
| 固定資産税 | 住宅用地の特例が適用されなくなり、上がる場合がある | 特例が適用される場合がある。ただし、管理状況などによっては適用されなくなることもある |
| 買主から見た印象 | 土地の広さや形状を確認しやすく、新築を考える人に向く | リフォームして住みたい人や、建物を活用したい人にも向く |
| 注意点 | 解体費用の分だけ売却価格が上がるとは限らない。再建築が難しい土地では特に注意が必要 | 建物の状態によっては買主が見つかりにくかったり、値引きを求められたりする |
更地にして売却するメリット・デメリット
更地にすると、買主が土地の広さや形状を確認しやすくなり、新築を検討している人にとって購入後のイメージがしやすくなる場合があります。建物の老朽化が激しく、利用が難しい場合には、更地にすることで売却の選択肢が広がることもあります。
一方で、解体費用がかかることに加え、住宅用地の特例が適用されなくなることで固定資産税が上がる可能性があります。解体費用をかけた分だけ売却価格が上がるとは限らず、結果として手元に残る金額が少なくなることもあります。
古家付きのまま売却するメリット・デメリット
建物を残したまま売却すれば、解体費用を先に負担せずに済みます。買主がリフォームして住むことを希望する場合や、建物を活用したい場合には、古家付きのままでも売却できる可能性があります。
ただし、建物の状態によっては買主が見つかりにくく、解体費用相当額の値引きを求められる場合もあります。また、建物の不具合や残置物について、売買契約でどのように取り扱うかを整理しておく必要があります。
再建築が難しい土地は、解体前に必ず相談を
特に注意したいのが、接道条件などの理由で再建築が難しい土地です。
建物を解体した後に新しい建物を建てられない場合、買主の用途が限られ、売却が難しくなる可能性があります。解体して更地にすれば必ず売りやすくなる、というわけではありません。
再建築の可否や接道条件、土地の権利関係によって売却方法は変わるため、解体を決める前に不動産会社へ相談することをおすすめします。再建築不可の土地の売却については、関連記事「再建築不可物件はなぜ売れない?接道義務の仕組みと売却の選択肢」で詳しく解説しています。
まずは、建物を残した場合と解体した場合、それぞれの売却価格の目安を確認し、解体費用や税金も差し引いたうえで比較しましょう。相続した実家を売る場合の手続きは、関連記事「相続した実家を売るときの流れ|手続き・費用・税金の特例をわかりやすく解説」にまとめています。
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のような買取査定サービスを利用すれば、解体費用をかける前に買取価格の目安を確認できます。査定額は実際の買取価格と異なる場合があるため、複数の会社に相談して比較しましょう。
解体するかどうかを含めて不動産の売却方法を相談したい方は、不動産売却の窓口でもご相談を受け付けています。
よくある質問
木造30坪の建物を解体すると、いくらくらいかかりますか?
木造30坪の場合、建物本体の解体費用は90万〜150万円程度が一つの目安です。ただし、庭木やブロック塀、残置物の処分、アスベストの除去、地中埋設物の撤去などは別途費用がかかる場合があります。実際の金額は、複数の業者から見積もりを取って確認しましょう。
相続した実家の名義変更がまだでも、解体できますか?
相続登記が済んでいない場合は、相続人や権利関係を確認したうえで進める必要があります。相続人が複数いる場合には、解体やその後の土地の売却について、関係者間で合意を得ておくことが重要です。
相続登記は2024年4月から義務化されているため、名義変更も並行して進めることをおすすめします。具体的な手続きや解体の進め方は、司法書士などの専門家に確認しましょう。
詳しくは、相続登記の義務化についての記事をご覧ください。
解体費用の見積もりは何社から取ればよいですか?
2〜3社を目安に、同じ条件で見積もりを依頼するのがおすすめです。金額だけでなく、工事範囲や廃材の処分費、追加費用が発生する条件、近隣対応なども比較しましょう。
解体費用を用意できない場合はどうすればよいですか?
無理に解体せず、古家付きのまま売却する方法や、現状のまま不動産会社に買い取ってもらう方法もあります。買主や買取業者が解体を行う前提で価格を提示する場合もあるため、まずは複数の売却方法を比較してみましょう。
更地にしたのに買い手が見つからない場合はどうすればよいですか?
土地の価格や売り出し方、立地条件などを見直す必要があります。更地にしたからといって、必ず短期間で売却できるわけではありません。不動産会社に販売状況を確認し、価格の見直しや買取など、別の方法も検討しましょう。
解体するかどうかは、誰に相談すればよいですか?
解体工事の費用や施工方法については解体業者に、解体した場合としない場合の売却価格や販売方法については不動産会社に相談するのがおすすめです。両方の情報を確認したうえで判断すれば、解体後に後悔するリスクを減らせます。
まとめ
建物の解体費用は、構造や広さ、立地条件によって異なります。木造住宅では坪あたり3万〜5万円程度、30坪で90万〜150万円程度が一つの目安ですが、付帯工事やアスベストの除去、地中埋設物の撤去などによって費用が増えることもあります。
また、建物を解体すると住宅用地の特例が適用されなくなり、土地の固定資産税が上がる場合があります。解体費用だけでなく、税金や売却価格への影響も含めて検討することが大切です。
解体してから売る方がよいのか、古家付きのまま売る方がよいのかは、物件によって異なります。特に再建築が難しい土地や、権利関係に問題がある不動産では、解体を決める前に売却方法を確認しておきましょう。
まずは複数の解体業者から見積もりを取り、不動産会社にも相談して、解体した場合としない場合の費用・売却価格を比較することをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。解体費用や補助金、税金、法令上の手続きは、建物の状態や自治体、個別の事情によって異なります。具体的な判断は、解体業者、不動産会社、自治体の窓口などにご確認ください。

